水力学のRANS計算を高速化する新しいアルゴリズム

自由表面の捕捉方法(VOF法、Level set法)は、海洋水力学のをCFD開発者の間で、ますます関心が高いものになっています。この関心の高まりの要因は、このアプローチでは格子再生成が不要であるため、自由表面フィッティング手法に基づくアプローチよりロバストであるという事実によるものです。さらに、界面の結合、分裂を自然な形で取り扱うことができます。

このような計算を達成するためには、特別な圧縮性離散スキームが使用されます。これにより、体積分率の輸送方程式を解き、界面を鮮明に保つことができます[1, 2]。もし、そのようなアプローチの能力や適応性に全く問題がないとしても、以下の2つの(容易に欠点になりうる)特徴が考慮されるべきです。

  • 体積分率は流れによって移動するので、定式化は本質的に非定常になる。著者の知る限り、現在まで、いかなる定常の定式化も成功していない。
  • 圧縮性の物性は、数値計算上、厳しいクーラン数の制限を持つ。

物理的に定常なケースを扱う場合、このようなアプローチを使用すると全く時間の無駄になります。上記のようなクーラン数の制限があるため、陰解放ソルバーにとって、体積分率方程式は非常に厳しい方程式となります。 この問題は、Ubbink氏の博士論文[1]の結論において、次のように初めて明確に示されました。「メインループのタイムステップを体積分率の移流を捉えるためのより小さなタイムステップに分割するサブサイクル技術を適用すれば、クーラン数の制限は、克服できないわけではない。」

このクーラン数の制限を削減するため、体積分率方程式のためのそのような独自の時間分割手法(時間サブサイクルとも呼ばれる)が開発され、定常のケースで検証されました。例えば、クーラン数を一定に保ったまま、大域的なタイムステップを増加させることができます。これは固定された物体に対しては問題はありません。しかし、物体の運動に対してニュートンの法則を使用すると、大きなタイムステップの場合、質量の効果が加わるため、流れと運動の連成が発散しやすくなります。

この問題を回避するため、平衡位置に到達させる目的で準定常アプローチが開発されました。この方法を体積分率のための時間分割手法と組み合わせたところ、安定性の問題が解消されました。水力学分野への応用のための、定常ケースを扱うこの新しい数値計算手法は、ニュートンの法則を使用した古典的な非定常アプローチと比較すると、CPU時間を大幅に削減できます。

この記事では、この研究で使用されたRANSソルバーの簡単な説明の後、時間分割手法と準定常アプローチの概要を説明しています。また、テストケースが示され、これらの技術の能力と効率性が実証されています。

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