航空宇宙

航空宇宙業界におけるCFD

民間および軍事用の航空宇宙技術とノウハウの発展は、継続的に加速しています。数値流体力学(Computational Fluid Dynamics、CFD)は、この発展の最前線を担っています。手頃な価格で高性能なコンピュータが利用できるようになり、CFDコードもますます発展し、巡航、離陸、着陸の空力最適化シミュレーションが、今や珍しいものではなくなってきています。複雑な数値計算による調査は、外部流(空力音響、熱、流体構造連成の予測、地上の渦現象)と内部流(ふく射、対流、汚染物質生成、内燃機関)のどちらにも及んでいます。

複雑な流れ現象のモデル化が困難な場合があり、物理的な精度と数値計算の制限との間で妥協が必要になるという点が、航空宇宙業界においてCFDが飛躍的に成長したことで、注目されるようになりました。主翼-胴体フェアリングや、先端複合材料のような異なる材料の組み合わせなど、さまざまな流れの状況や形状構成に対して、信頼できる高精度な抗力の予測をすることが、いかなる空力設計の最適化においても不可欠です。亜音速から極超音速に至るあらゆる流れの領域において、ソルバーは高速でロバストでなければなりません。また、精度よくショック現象を捉え、境界層流れ、流れの剥離、翼の失速などを確実に予測できなければなりません。乱流モデリングの分野がさらに発展すれば、二次流れや渦の剥離を伴う乱流流れ場の予測が向上するでしょう。例えば、回転機械のような非定常の流れ場をモデル化し、格子に依存しない結果を得るには、さらに多くの計算機リソースが必要になります。このようにモデルがより複雑になれば、より効率的なCFDコードが求められます。空力設計ソフトウェアは、主に着陸装置や翼のフラップなどに起因する騒音予測のモデル化についても網羅しなければなりません。しかし、このモデル化は空力最適化と両立が難しく、依然として困難な課題です。より単純な流れの問題ではありますが、空気の流れの圧力降下の最小化や、温度混合、換気などを含むキャビンの内部流れ解析や乗客の快適性も、民間航空機業界にとって、重要なCFDのトピックです。航空宇宙への適用をターゲットとしたCFDコードは、軍事適用に関連する操縦性解析といった、専門的な要求にも取り組まなければなりません。

航空宇宙業界において、CFD解析は、流れの物理現象をより深く理解でき、一方でコストとターンアラウンドタイムを削減できるため、極めて重要な研究、開発、設計ツールであることが実証されています。高品質なCFDの結果は、風洞を使用した高コストな研究への依存を軽減し、プロジェクトの設計初期段階における設計最適化を可能にします。CFDの価値を高め続ける、高精度で信頼性の高い、より高速なソルバーコードの開発が、今後の主要な課題となるでしょう。

航空宇宙業界におけるNUMECAのソリューション

NUMECAは、2つの先進的なCFD設計・解析パッケージFINE™/TurboおよびFINE/Open with OpenLabsをご提供しています。これらは航空宇宙産業向けに開発され、この分野に特化した流体力学の応用が可能です。

FINE™/Turboおよび統合化メッシュ生成ツールAutoGrid5™(翼形状のための全自動メッシュジェネレーター)は、ターボ機械の分野において、先駆的な製品です。FINE™/Turboの中核である、高速で、高精度な、マルチブロック構造格子に対応したナビエ-ストークスソルバーは、定常および非定常の動翼-静翼相互作用、ショック-境界層相互作用、渦放出といった、ターボ機械の流れ現象の特性に対応するよう開発されてきました。このソルバーは、凝集マルチグリッド技術やCPU Boosterによって迅速に収束し、他社製品に比べて高速であり、RAMおよびCPU時間の観点において、計算コストを大幅に低減できることが実証されています。ノンリニア・ハーモニック(NLH)モジュールを使用すると、1翼ピッチ分のみのモデルを用いて、多段ターボ機械の非定常流れを数時間でシミュレーションできます。これにより、少ないメモリー量と手頃なCPUコストを実現できます。FINE™/Turboの流体ソルバーは、当初は欧州宇宙機関(ESA)のために開発され、遅い亜音速流れ(人工圧縮性を使用)から、熱非平衡流れを含む、極超音速流れまでを扱うことができます。FINE™/Turboのメッシュ作成ツールAutogrid5™は、複雑な軸流、遠心、斜流のすべてのタイプの回転機械に対応し、完全6面体マルチブロック構造格子を作成できます。Autogrid5™は、CADのインポートや、先進アルゴリズムを用いた翼形状の可視化が可能で、翼に特化したメッシュ作成ウィザードが利用でき、簡単に高品質なメッシュが作成できます。

FINE™/Open with OpenLabsは、NUMECAの非構造格子CFDパッケージで、内部および外部流れの両方に適しています。FINE™/Open with OpenLabsの非構造格子ナビエ-ストークスソルバーは、広範な物理モデルおよび乱流モデルを搭載し、凝集マルチグリッド技術によって、迅速に収束するため、RAMおよびCPU時間の観点において、計算コストを大幅に低減できます。新しいCPU Boosterに組み込まれた、高いCFL数を許容するアルゴリズムで、さらなるソルバーのスピードアップが実現しました。このソルバーは、遷音速、超音速、極超音速流れを含む、広範な流れにおいて検証されています。MpCCIインターフェースを通して、FINE™/Open with OpenLabsとFEA(有限要素解析)コード間の流体-構造連成が可能です。FINE™/Open with OpenLabsパッケージには、メッシュ作成ツールHEXPRESS™が含まれており、自動化されたボリューム-サーフェスアルゴリズムを使用して、複雑な形状に対して、高品質な非構造格子を作成できます。HEXPRESS™は、ユーザーフレンドリーなGUIで、セットアップとメッシュの修正を可能にするメッシュウィザードが利用でき、不連続で物体に適合した完全6面体メッシュを生成します。さらに、先進のスムージング機能により、高品質な境界層の挿入が可能です。また、HEXPRESS™/Hybridは、6面体が支配的な、連続で物体に適合した格子を作成でき、不完全な形状を修正するCADクリーナー/ラッパー機能も搭載しています。複雑で詳細な航空宇宙分野の形状に対して、数時間で完全自動のメッシュ生成ができます。

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航空宇宙業界の適用事例

NUMECAは、航空宇宙業界における最も複雑なシステムを取り扱うことができる、メッシュ生成およびCFDツールをご提供しています。NUMECAの統合CFDソフトウェアパッケージは、次の目的に対応した解析ツールとソリューションを提供します。

  • ポテンシャル、翼/後流、後流相互作用、風速および乱流などを含む空力性能
  • 振動および流体騒音を含む騒音性能
  • 翼、発電機、ナセル、ローターなどの要素の最適化
  • 流体-構造相互作用
  • 暖房、換気および空調(HVAC)の解析

NUMECAは、旅客機からミサイルに及ぶ、広範な航空宇宙分野の流れ解析に対するソリューションをご提供しています。

■旅客機

NUMECAの完全6面体メッシュ作成機能およびCPU Boosterによる収束高速化技術により、旅客機の空力において、高速で高精度な流れの予測が現実のものとなりました。
次のグラフは、NUMECAのソフトウェアが、実験結果を再現し、収束時間を一桁スピードアップできていることを示しています。

■航空機のフルモデル

HEXPRESS™/Hybridの並列メッシュ生成機能を用いると、完全で詳細な航空機モデルに対して、数時間でメッシュを生成することが可能です。

■遷音速、超音速、極超音速流れ

CPU Boosterを使用すると、遷音速、超音速、極超音速流れの高速で高精度な空力性能シミュレーションが可能です。

■航空機客室

航空機客室における乗客の快適性解析のための、暖房、換気、および空調(HVAC)シミュレーション

■翼内燃料タンク

HEXPRESS™によって生成された完全6面体メッシュを用いた翼内燃料タンクの燃料補給シミュレーション

■高揚力装置

低速条件における高揚力装置性能のシミュレーション
迎角10°(中央)および31°(右)における流れ構造の比較

■ミサイル

MpCCIを用いた、FINE™/Open with OpenLabsとFEA(有限要素解析)コードの流体-構造相互作用連成によるミサイルのフラッター解析

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